世の中には、不満な現実を先祖の過ちのせいにしたり、前世の過ちのせいにまでしている人がい。
しかし、先祖の過ちのせいにできない。
例えば伊藤には父と母の2人がいる。
その父と母にも2人ずついる。その祖父と祖母にも、それぞれ父と母が2人ずついる。つまり一代さかのぼるごとに先祖の数は倍ずつ増えていく。
そんな調子で30代前迄さかのぼっつてみれば、先祖の数は現在の日本の人口と同じ数になってしまう。
それでは伊藤琢哉と読者の方々の先祖の数は日本の人口の数と同じ数となってしまう。
結局、十人十色の不幸の原因を先祖の過ちのせいにするわけにもいかない。前世の過ちのせいにするわけにもいかなくなる。一番最初の前世は、いったい何のせいにすればいいのか?
つまり、先祖の過ちのせい、前世の過ちのせいというのも幻想なんだ。
そんなものなんて存在しない。
自分の欠点もそう。自分の欠点のせいにしたときに、あたかも欠点が存在するかのように見えるだけで、本当はそんな物なんてない。
自分が勝手に作り出しているだけ。