英語教育における、特に初学者・ビギナーへの指導法の難しさと、理想的なアプローチについて、分かりやすい文章で書きます。
英語教育における初学者指導のパラドックス:経験と専門性の活かし方
英語教師、特に高い専門性と豊富な教育経験を持つ方々の中には、「自分はこのような分かりやすい学術的なアプローチで指導できる」という信念をお持ちの方が多いのが実情です。
実際に、大学での英米文学研究、そして予備校での20年、30年にわたる指導経験と人気を誇ってきた先生方が、今、マンツーマンの時代において、初学者やビギナー、特に英語に初めて触れる小学校1年生から6年生を含む老若男女を教える際に、一つの大きな壁に直面することがあります。
🎓 専門的アプローチの罠
この壁とは、指導者が過去に「成功を収めてきた体験」や「自身の指導法がWin-Winの関係を築いてきた体験」が、強ければ強いほど、初学者指導においては逆効果になるというパラドックスです。
成功体験が積み重なるほど、教師は自身の確立された指導法、すなわち「自分の持論展開がものすごく優れている」という考えに固執しがちです。しかし、英語という新しい分野への関心やモチベーションがまだ定まっていない初学者にとって、高度に洗練されたり、学術的すぎるアプローチは、かえって学習意欲を削ぐ要因となりかねません。
🌟 初学者指導の要諦:関心の引き出しと反復の継続性
この初期段階で本当に求められる指導とは、教師の自己満足的な教え方ではなく、生徒一人ひとりの内側にある関心や興味を最優先することです。
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関心の発掘(Hooking Interest): まず、教師の主観的な「教えたいこと」ではなく、生徒が「何に関心を持っているのか」を注意深く見つけ出し、それを引き出させます。
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要素の抽出と構成(Pick-up & Line-up): 引き出された関心事や、学習につながる要素を細かくピックアップし、生徒が無理なく消化できる難易度と順番(ラインナップ)で構成します。
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徐々に消化し送る(Gradual Digestion): その構成された内容を、一度に大量に与えるのではなく、徐々に、かつ確実に消化させていくプロセスを丁寧に繰り返します。
最も大切なのは、この「関心を引き出し、ピックアップし、ラインナップして、徐々に消化していく」という一連の**反復の連続性(Succession and Consistency)**です。
初学者への指導においては、教師の成功体験よりも、生徒の小さな「できた!」という体験の積み重ねこそが、学習の土台を築く鍵となります。この時期に教えることができる人間とは、自身の専門性を抑え、生徒の視点に徹底的に立って関心を引き出すことに喜びを見出せる指導者なのです。
もしよろしければ、この「初学者指導の要諦」を、さらに具体的な英語学習のテーマ(例:フォニックス、英会話など)に適用した指導案を作成することも可能です。教師の方々で普段から英語指導にお困りの方伊藤琢哉の講義はいかがでしょうか?










