京大「医学部」受験生は、何と言ったと思う?
私が50代にして京大を7回受けて
「どんな解答が実際に高得点になるか」
調査したら結果だけ手っ取り早く知りたがる生徒が多いことに驚いた。それで、実際に8割超の得点獲得率だった私の書いた英語を見せたら
「こんな中学生が書いた英文で本当に?」
と言う子が多かったが、医学部受験生だけは不思議にも何とも思わないようだった。
落ちる子の答案には共通点がある。それは、
“難解な単語を使い、難解な表現を使うと高得点になる“
という勘違い。入試は減点法なので「ミスをしない答案」に軍配が上がる。なのに、落ちる子たちは自分の勘違いを正そうとしない。なぜなら、受験参考書には難解な単語や熟語、構文が満載だからだ。河合塾や駿台の“模範解答”を見ても難度の高い単語が用いられているから無理もない。
しかし、医学部受験生たちはそんな勘違いをしない。彼らの作る英文を見ればすぐ分かる。平易な構文や単語を用いて書かれている。ただし、三単現・単数複数・時制・冠詞といった日本人がやりがちなミスが一切ない。
「難解な内容を平易に書くのが達人」
「平易な内容を難解に書くのがバカ」
と、よく分かっている。
私は京大受験生を中心に難関大合格のための添削を生業としている。そして、高学力だと自分で信じている生徒に“三単現・単数複数・時制・冠詞といった”基本事項のミスを指摘すると
「そんなことは分かっています!」
と、怒る。
「もっとカッコイイ表現方法を教えてください」
と、まるで勘違いのリクエストをする。私は「勝手に落ちろ」と心の中でつぶやく。学ぶ姿勢が根本的に誤っているので修正不可能なのだ。
賢い子たちは、愚痴る私に
「バカと喧嘩しても時間の無駄ですよ」
と、人生の先輩のような口をきく。でも、私の仕事は受験指導だと授業料だけのことは伝えなければならない。それで、勉強法の改善案を伝えたら
「先生はボクの勉強法を否定するのですか!」
と、言われたこともある。救いようがない。医学部受験生の子の言うとおり時間の無駄かもしれない。
ひたすら落ちる方向に進んで行くのを止めることが出来ない。アメリカで教えていたと言えば、私の言うことを信じてくれると思った。でも、ダメだった。英検1級に合格すれば、私の言うことを信じてくれると思った。でも、ダメだった。実際に京大二次で8割を超えてみせれば、私の言うことを信じてくれると思った。でも、ダメだった。
落ちる道を進む子は、何をやってみせてもダメなのだ。私の言うことに耳を貸してくれた子は、京大医学部4名、阪大医学部4名が合格していった。耳を貸してくれなかった子は、不本意校で学んでいる。
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